日々の広告運用、お疲れ様です。
「急にCPAが高騰して原因がわからない…」「また広告の審査に落ちた…」など、毎日管理画面とにらめっこしながら、次々と現れる課題に立ち向かっているのではないでしょうか。
そんな忙しい皆さんの耳にも、最近ニュースで話題の「ChatGPT広告がついにアメリカでテスト開始!」という情報が入ってきたかもしれません。
今回は、Web広告業界に足を踏み入れたばかりの方や、今後運用者としてステップアップしていきたい方に向けて、「ChatGPT広告の今後」と、AI時代における広告運用の未来について、分かりやすく解説します。
ChatGPT広告は「極めて意図が深い」新しい広告
ChatGPT広告は、一見すると私たちが普段運用しているGoogleの検索連動型広告に似ています。
ですがその本質は、既存にはない、全く新しいタイプの広告の一面があります。
なぜなら、ユーザーがChatGPTに入力するテキストは、検索エンジンの窓に入力する単語よりも「極めて個人的で、意図が深い」からです。
なぜ今、ChatGPT広告が入るのか?
そもそも、なぜ今ChatGPTに広告が入るのでしょうか。
実はOpenAIは2024年2月、OpenAIは米国の大手スーパー「Target」などの小売企業と協力し、ChatGPT内で広告表示のテスト運用を開始していました。
その時点でも今の方針と変わらず、ユーザーの質問に対する回答とは明確に区別された形で、関連する広告が表示される仕組みでした。
コスト回収のための自然な流れ
AIチャット系に広告が入るのに驚く人もいるようですが、歴史的に見て極めて自然な現象だと思います。
「Claude」を提供するAnthropic社のように、今のところ広告モデルに否定的なAI企業もあるものの、「人がたくさん集まる場所ができれば、そこは広告として稼ぐチャンスが広がる」というのが、これまでのインターネット広告の歴史です。
そして何より、AIの運用には膨大なサーバー費用や電気代がかかります。
この莫大なコストを回収し、さらにAIを賢くしていくための一つの手段として「広告でマネタイズする」というのは、企業として極めて自然な流れなのです。
ChatGPT広告と検索広告の決定的な違い
では、私たちがよく知るGoogle検索広告と、今後のChatGPT広告はどう違うのか。
運用者目線で紐解いてみます。
1. 「告白アーカイブ」と呼ばれるほどの深いデータ
Google検索では「新宿 カフェ」と単語で検索しますが、ChatGPTには「今週末、付き合って1年の彼女と新宿でデートするんだけど、静かで落ち着けるカフェを教えて」といったように、背景や文脈まで入力しますよね。
静かで落ち着けるカフェに行きたい…」
中には、筆者自身もそうですが誰にも言えないような悩みや仕事の機密に近いことを相談する人もいます。
つまり、ChatGPTは「前例のない告白アーカイブ(byアタラ合同会社の杉原剛氏)」とも言える場所です。
これほどユーザーの「こうしたい」「これが知りたい」という強いシグナル(意図)が集まる場所は、広告プラットフォームとしてとてつもないポテンシャルを秘めているに違いありません。
2. 今はまだ「CPM」での評価がメイン
私たちが普段運用している広告は、「クリックされてナンボ(CPC課金)」や「コンバージョンしてナンボ(CPA最適化)」が基本ですよね。
ですが、現在テスト中のChatGPT広告は、まだコンバージョンを精緻に計測する機能が備わっていないため、「1,000回表示したらいくら(CPM課金)※1」という売り方がされているようです。
※1出典元:ChatGPT Ads Reported To Start With $60 CPM Basis
管理画面(セルフサーブ機能)から誰でも数千円で出稿できるGoogle広告やSNS広告と違い、今はまだ数千万円規模の予算を持つ大企業向けのテスト段階です(※2)
※2出典元:ChatGPT Ads for Marketers: Pricing, Targeting & Setup Guide
ですが今後、機能が拡充されれば、私たち運用者が当たり前のように管理画面から入稿する日が来るかもしれません。
AI広告の今後と、私たちが直面する「壁」
非常に魅力的なChatGPT広告ですが、普及に向けては大きな壁も存在します。
ユーザーの「プライバシー」に対する不安と拒絶反応
皆さんも想像してみてください。
誰にも言えない悩みをChatGPTに相談している最中に、「あなたにぴったりのサービスはこちら!」と広告が出たら、少し「監視されているみたいで気持ち悪い」と感じませんか?
実際にMetaが2024年5月に発表した、FacebookやInstagramに投稿されたデータをAIのトレーニングに活用するという方針がありましたが、こうした姿勢は世界中から批判されました(※3)
※3出典元:Meta AIトレーニングにユーザーが投稿したデータを使用する計画
Metaが直面したように、「自社の利益」と「ユーザー体験」のバランスをどう取るかが、今後のAI広告の最大の課題です。
「エージェンティック広告」と「AIが買い物をする未来」
さらに衝撃的な未来もお話ししておきましょう。
今後、AIエージェントが私たちの代わりに「最適な商品を選び、勝手に決済までしてくれる時代」が来ると言われています。
そうなると、AmazonのようなECサイトに「人間」が訪問しなくなるため、そこのサイト上に出る広告(リテールメディア)の価値が変わってしまいます。
人間がサイトを訪問しなくなれば、現在の「検索結果」や「バナー」といった広告枠は意味を持たなくなりますよね。
なので、画面の枠を奪い合うのではなく、「AIエージェント同士が直接交渉して、最適な広告を自動で買い付ける(エージェンティック広告)」という構想が進んでいるのです。
細かいターゲット設定など、今後細かい広告設定はAIでの自動化で、より進むことでしょう。
小手先の運用テクニックが通用しなくなる未来に向け、私たち広告運用者に求められるのは、AIに自社を選ばせるための「データの質」「クリエイティブ」「ビジネス戦略」といった、本質的なマーケティング力になっていくと私たちは見込んでいます。
まとめ:今後、運用者に求められるスキルとは?
「AIが勝手に広告を出稿して最適化してくれるなら、私たちの仕事はなくなるの?」
そう不安に思った方もいるかもしれません。
確かに、管理画面のボタンをポチポチ押して単価を調整するだけの作業は、近い将来AIに完全に代替されるでしょう。
すでに、Meta広告のAdvantage+(アドバンテージプラス)などを活用し、AIに最適化を任せている運用者も多いはずです。
だからこそ、これからの広告運用者に求められるのは以下のスキルだと考えます。
- AIに質の高い「データ」を渡す仕組みを作ること(計測環境の整備など)
- ユーザーの「邪魔」をせず、悩みを「解決」するクリエイティブやコミュニケーションを設計すること
- クライアントのビジネス全体を理解し、管理画面を超えた「戦略」を描くこと
ChatGPT広告の登場は、インターネット広告業界における「何十年に一度の大きなパラダイムシフト」の始まりと言えます。
今はまだ目の前の審査落ちやCPA高騰の対応で精一杯かもしれません。
それでも、こうした「少し先の未来」を知っておくことで、日々の運用業務の見え方が少し変わってくるはずです。
ツールや媒体がどれだけ進化しても、「人にモノを届ける」というマーケティングの本質は変わりません!
変化を恐れず、成長していきましょう!

