Webマーケティングご担当者様の中には、「メルカリAdsの調査・導入」といった新たなミッションに直面されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
Google広告やMeta広告など、既存の主要媒体との違いやその費用対効果、具体的な運用方法について情報収集に課題を感じていらっしゃるケースは少なくありません。
私たちリドルセンスはGoogle、Yahoo!広告やSNS広告を主軸にお客様のマーケティング活動を支援する広告代理店です。
本記事では私たちの専門的知見と実際の運用経験に基づき、メルカリAdsの全体像から具体的な運用戦略までを、体系的にご理解いただけるよう構成しました。
最後までお読みいただくことでメルカリAdsの本質的な価値を捉え、自社のマーケティング戦略における有効な選択肢として、自信を持って検討・提案できるようになることをお約束します。
メルカリAdsとは|購買意欲のピークを捉えるリテールメディア
まず結論から申し上げます。
メルカリAdsの本質とは、『明確な購買意欲を持って商品を探しているユーザーに対し、最も効果的なタイミングで自社の商品やサービスを提案できる広告プラットフォーム』であるということです。
2025年に本格始動したメルカリの広告事業「メルカリAds」は、単なる一機能の追加ではありません。
3.3兆円を超える日本のインターネット広告市場、とりわけ、小売企業が自社のECサイトそのものを広告媒体として活用する「リテールメディア」(Amazonの検索結果に出てくるスポンサー広告などが代表例です)という、2028年に約1兆円規模への成長が予測される市場への、メルカリによる本格参入を意味します。
国内リテールメディア市場の急成長
メルカリが参入するリテールメディア市場は、今後数年で3倍近い成長が見込まれる巨大市場です。この波に乗ることが、将来の成長の鍵を握ります。
これは、デジタルマーケティングの勢力図を塗り替える可能性を秘めた、重要な戦略的転換点といえます。
なぜ有効なのか?メルカリAdsが他媒体と違う3つの優位性
メルカリAdsがなぜこれほどまでに強力な効果を発揮するのか。
その背景には、他の広告プラットフォームにはない、3つの明確な優位性が存在します。
優位性1:圧倒的に純度の高い「購買インテント」
メルカリAdsが持つ最大の武器は、ユーザーの「検索インテント(検索意図)」の純度の高さにあります。メルカリ内で検索を行うユーザーの多くは、単なる情報収集ではなく、「欲しいモノを安く買いたい」という明確な購買目的を持っています 。
最大の武器:購買に直結する「検索インテント」の純度
一般的な検索エンジンと異なり、メルカリ内での検索は「購入」という目的が極めて明確です。これは、広告主にとってコンバージョン確度の高いユーザーに無駄なくアプローチできることを意味します。
メルカリ vs 一般検索
メルカリ内検索
「これを買いたい」という強い購買意欲が検索の大部分を占める。ユーザーはすでに「購買モード」に入っている。
一般的な検索エンジン
情報収集、比較検討、暇つぶしなど、多様な目的が混在し、購買意欲の度合いには大きなばらつきがある。
例えば、Googleなどの検索エンジンで「ベビーカー」と検索するユーザーの意図は、「製品レビューの確認」「価格帯の調査」「機能比較」など、情報収集の段階にあることが大半でしょう。
対照的に、メルカリのアプリ内で「ベビーカー」と検索するユーザーの多くは、「購入」という明確な目的を持っています。つまり、広告主は購買ファネルの最終段階にいる、極めて確度の高いユーザー層に直接アプローチすることが可能なのです。
優位性2:UX(ユーザー体験)を最優先したプラットフォーム設計
メルカリは、ミッションである「あらゆる価値を循環させ、あらゆる人の可能性を広げる」を実現するため、UX(ユーザー体験)の維持を最重要視しています。
その思想は広告設計にも貫かれており、後ほど説明しますが、ユーザーが「広告が邪魔だ」と感じにくいよう広告枠の表示位置を検索結果の4行目以降(オンサイト広告)や10行目以降(オフサイト広告)に意図的に配置するなど、慎重な実装が行われています。
このユーザーファーストの姿勢が、広告でありながらプラットフォームの文脈に溶け込み、ユーザーからの反感を最小限に抑える要因となっています。
優位性3:月間2,300万人超の巨大なアクティブユーザー基盤
メルカリが月間2,300万人以上の膨大なアクティブユーザーを抱えている事実は、広告媒体としての大きな価値を示しています 。
月間アクティブユーザー
2,300万人
購買意欲の高い巨大なユーザー基盤に直接アプローチ可能。
特に取引が活発な人気カテゴリ
👗
アパレル
💄
コスメ
🎮
ホビー
📱
ガジェット
多様な趣味・嗜好を持つユーザーが「掘り出し物」を求めて利用
ユーザー層は女性が56%、男性が44%で 、年代別に見ると10代〜20代が36%、30代が22%と、若年層から中年層が過半数を占めています 。エンゲージメントが極めて高いこの巨大なユーザーコミュニティに直接リーチできること自体が、広告主にとって大きなビジネス機会となるのです。
【広告メニューとターゲティング】自社ビジネスに最適な広告手法を探そう
メルカリAdsは、広告クリック後の遷移先によって、大きく2種類に大別されます。事業目的に応じて、最適なメニューを選択することが重要です。
- オンサイト広告
ユーザーをメルカリ内で完結させる広告。「メルカリShops」出店者向けのメニューです。 - オフサイト広告
ユーザーをメルカリ外部(自社のECサイト等)へ誘導する広告。幅広い業種の事業者が対象です。
広告メニュー選択フロー
目的はメルカリ内で売ることか、外部サイトへ誘導することか? この最初の選択が戦略の方向性を決定します。
広告の目的は?
メルカリ内で完結
(オンサイト広告)
メルカリShops広告
自店舗の商品への送客を増やし、売上をブースト
外部サイトへ誘導
(オフサイト広告)
Product Ads
データフィード連携で商品広告を自動生成。EC事業者に最適。
Infeed Ads
個別クリエイティブで柔軟に訴求。業種を問わず活用可能。
オフサイト広告には、さらに主要な2つのメニューがあります。
オフサイト広告①:Product Adsとデータフィードの仕組み
Product Adsは、商品情報が記載された「データフィード」を連携することで、ユーザーの検索キーワードや興味関心に合致する広告が自動で生成・配信されるメニューです。
このProduct Adsの成果は、連携するデータフィードの質に大きく左右されます。データフィードの準備には主に2つの方法があります。
- Google Shopping広告用のフィードを連携
既存のフィードを連携すると、メルカリ側でMercari Ads用の形式に自動的に変換してくれます 。導入の手間を大幅に削減できるため、初心者にも推奨される方法です。 - Mercari Ads専用フィードを新規作成
メルカリAdsに最適化されたタイトルを設定するなど、より高度な運用を目指す場合に適しています。
フィードには「id、title、description、price」など多数の項目があり、これらの情報を正確かつ豊富に提供することが、広告のマッチング精度を高める鍵となります。
オフサイト広告②:Infeed Adsと詳細ターゲティングオプション
Infeed Adsは、広告主が用意した画像やテキストを入稿して配信する、より柔軟性の高いメニューです 。Product Adsと違い、詳細なターゲティング設定が可能です。
- ユーザーターゲティング
性別、年齢に加え、「居住地(都道府県単位)」「職業」「利用デバイス(iOS/Android/PC)」などを指定して配信対象を絞り込めます 。 - キーワードターゲティング
ユーザーがメルカリ内で検索したキーワードを指定して広告を配信できます。
ここで非常に重要な注意点として、キーワードターゲティングと、その他のユーザーターゲティング(居住地、職業など)を同時に設定することはできません 。
どちらか一方を選択する必要があるため、戦略に応じた使い分けが求められます。
Infeed Ads:ターゲティング項目と戦略例一覧
属性カテゴリ | 設定可能な項目(選択肢) | 戦略的活用例 |
---|---|---|
性別 | 男性 / 女性 / 不明 | コスメは女性、ビジネスバッグは男性など、商材に合わせた基本的なセグメント分け。 |
年齢 | 18-19, 20-24, 25-29, 30-34, 35-39, 40-44, 45-49, 50-54, 55-59, 60-64, 65-69, 70+, 不明 | 若者向けファッションは18-24歳、子育て関連商材は30-40代、シニア向け健康食品は60歳以上など、ライフステージに合わせた訴求。 |
居住地 | 都道府県単位 | 地域限定のサービス(不動産、店舗型サービスなど)や、特定のエリアでのイベント告知、送料の優位性を訴求するキャンペーン。 |
職業 | 不明 / 会社員・団体職員 / 会社役員・団体役員 / 公務員 / 個人事業主・自営業 / 契約・派遣社員 / パート・アルバイト / 専業主婦・主夫 / 年金受給者 / 学生 / 無職 / 医師 / 弁護士・会計士・税理士・司法書士・その他士業 / 教職員 | BtoB向けツールは会社員・個人事業主、リクルートスーツは学生、時短家電は専業主婦・主夫など、職業特有のニーズを狙い撃ち。 |
デバイス | iOS / Android / PC | モバイルアプリのインストール広告はiOS/Android、高単価なBtoBサービスや詳細な情報入力が必要な商材はPCユーザーをターゲット。 |
先述した広告各メニューの特徴を以下の表に整理しましたので、社内での導入検討や社内決済などにご活用ください。
メルカリAds 広告メニュー完全比較まとめ
項目 | Product Ads (オフサイト) | Infeed Ads (オフサイト) | オンサイト広告 (メルカリShops) |
---|---|---|---|
主な目的 | 自社ECサイトでの商品販売促進 | 自社サイトへの送客、リード獲得、ブランド認知 | メルカリShops内での商品販売促進 |
対象広告主 | 主に多品目を扱うEC事業者 | 業種を問わない(EC、サービス、アプリ等) | メルカリShops出店者 |
広告生成 | データフィード連携による自動生成 | クリエイティブの個別入稿 | Shopsの商品情報を活用 |
ターゲティング | 不可(自動マッチング) | 可能(属性、検索KW等) | 不可(自動最適化) |
課金形態 | CPC(クリック課金) | CPC(クリック課金) | CPC(クリック課金) |
メルカリAdsの費用|広告代理店が解説する効果最大化の思考法
コストに関するご質問は非常によくいただきます。
メルカリAdsの課金形態は、クリックに対してのみ費用が発生するクリック課金(CPC)です 。最低出稿金額の設定はなく 、理論上は1円から入札可能なため、試験的な導入がしやすい点は大きなメリットです。
広告運用において重要視すべき指標の一つがROAS(Return On Ad Spend:広告費用対効果)です。
ROAS (%) = 広告経由の売上 ÷ 広告費 × 100
クリックが発生してもコンバージョン(売上)に至らなければROASは悪化し、事業としては赤字となります。厳格なROAS管理に基づいて、PDCAサイクルを迅速に回すことが、収益性を確保する上で不可欠です。
【始め方】公式フローとGTM活用でスムーズ導入|4つのステップ
メルカリAdsは、公式に示されている以下のステップで導入が可能です。
- Step 1
アカウント申請と発行(2営業日程度)
メルカリに直接問い合わせるか、取り扱い代理店(弊社リドルセンスでも代行可能です)を通じてアカウント発行を申し込みます。作業としては専用の申請シートを記入し、提出します。
- Step 2
事前審査(3営業日程度)
Infeed Adsの場合のみ、事前に広告クリエイティブ(画像・タイトル・LPのURL)の共有と審査が必要となります。Product Adsの場合はこのステップは不要です。 - Step 3
入稿と効果計測タグの設置
広告素材やデータフィードを入稿します。同時に、広告の成果を正確に計測するための「計測タグ」を自社ウェブサイトに設置します。この設定はROAS計測の根幹をなす重要なプロセスですが、メルカリはGoogleタグマネージャー(GTM)の公式テンプレート「eagle-insight-tag」を提供しており、これを利用することで簡易に設定が可能です。 - Step 4
配信開始と事後審査(不定期)
入稿内容が承認され次第、配信が開始されます。配信開始後も、ユーザーからの通告などに基づき不定期に事後審査が行われる場合があります。
【リドルセンスの視点】成功の要諦と商材の相性
ここからは、広告代理店である弊社の実践的な視点から、成功の要諦と、私たちが実際の運用で得た教訓についてお話しします。
メルカリAdsで成果を最大化するための原則は、「”広告”としてではなく、”価値ある情報”としてユーザーに認識させること」です。過度に装飾された広告クリエイティブよりも、商品の魅力が直感的に伝わる、誠実で分かりやすい表現が好まれる傾向にあります。
成果最大化の秘訣:クリエイティブの鉄則
メルカリでは「広告感」の強いクリエイティブは敬遠されます。ユーザーが「掘り出し物」を見つけた感覚になるような、自然で魅力的な見せ方がクリック率を飛躍的に向上させます。
アパレルECサイトの事例
Product Adsの画像を工夫するだけで、CTR(クリック率)が劇的に改善。商品の良さが直感的に伝わり、利用シーンがイメージできる画像が高評価に繋がりました。
- ただの平置き画像 → CTR 1.0x (基準)
- モデル着用画像に変更 → CTR 1.4x
- モデルの顔や脚が見えるように調整 → CTR 2.1x
実は、弊社でも過去に「保険」という無形商材の広告運用において、成果創出に課題を感じた経験があります。
その要因を分析した結果、メルカリユーザーの多くが持つ「具体的な”モノ”を探す」という利用動機と、保険という「将来に備える無形サービス」との間に、ニーズのギャップが存在したことが明らかになりました。
検討期間が長く、複雑な理解を要する商材は、メルカリのプラットフォーム特性と必ずしも合致しないケースがあるのです。
この経験から得られた重要な教訓は、『メルカリユーザーの検索行動の背後にある”インサイト”を深く理解し、その文脈に合致した提案を行うこと』の重要性です。
この知見に基づき、メルカリAdsにおける商材の相性を以下のように整理できます。
- 親和性が高い商材
アパレル、コスメ、ガジェット、ホビー関連など、有形であり、ユーザーの趣味嗜好と強く結びつくカテゴリー。 - 戦略的な工夫を要する商材
金融商品や高額なBtoBサービスなど、検討期間が長期化し、検索行動が直接的な購買に結びつきにくいカテゴリー。 - 成功ポテンシャルのある無形商材
旅行関連(航空券、宿泊)、エンターテインメント、スキルシェアなど、ユーザーが検索する「モノ」から、具体的なサービスへの需要が明確に読み取れるサービス。(例:旅行関連であればキャリーバックなどの旅行グッズへの出稿するなど)
こうした実践的な経験から得た知見こそが、お客様に最適な広告戦略をご提案する上での、私たちの強みであると自負しております。
まとめ|メルカリAdsは挑戦する価値のある「未来の成長エンジン」
本記事で解説してきた通り、メルカリAdsは単なる新規媒体の一つではありません。
- 購買意欲が極めて高いユーザー層に、ダイレクトにリーチ
- 「検索インテント」という、質の高い独自のデータを最大限に活用可能
- 市場の黎明期である今、参入することで先行者利益を享受できる可能性あり
メルカリAdsは、貴社のビジネスを加速させる、未来への成長エンジンとなり得るポテンシャルを秘めています。特に、EC事業者様や、ユーザーのライフイベント・趣味に関連するサービスを展開されている事業者様にとっては、今まさに検討すべき、非常に有効なマーケティング手法と考えています。
「より具体的な戦略について相談したい」
「自社商材との相性を客観的に診断してほしい」
「運用実績豊富な代理店のサポートを受けたい」
このようにお考えでしたら、ぜひ一度、私たち株式会社リドルセンスにお声がけください。ITの進化が生み出す複雑な”Riddle(謎)”を解き明かし、お客様のマーケティング課題を解決へと導く。それが私たちの使命です。