Web広告の世界では当たり前のように使われるGoogle広告。
いざ自分が担当するとなると、「何から手をつければいいの?」「専門用語が難しくて分からない…」「費用はどれくらいかかるんだろう?」といった疑問や不安が次々と湧いてくることでしょう。
ご安心ください。
この記事は、まさにそんなGoogle広告初心者のためにあります。
この記事を最後まで読めばGoogle広告の基本的な仕組みから、始め方、そして広告効果を最大限に高めるための実践的な運用テクニックまで、体系的に理解することができます。
私たちリドルセンスは、日々多くのクライアント様のGoogle広告運用を支援していますので実際の運用事例も交えながら、解説していきます。
世界最大の集客ツールであるGoogle広告とは?
まず結論から。
Google広告とは「Googleが提供するウェブ広告サービス」です。
これを使えば世界中の人々が利用するGoogleのさまざまな場所に、自社の商品やサービスの広告を掲載できます。
具体的には、以下のような場所です。
- Google検索の結果ページ
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- YouTubeの動画再生前後や途中
- さまざまなWebサイトやブログ(Googleディスプレイネットワーク)
ここに記事のテキストが入ります…
あなたのバナー広告
- Gmailの受信トレイン
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メールの件名とプレビュー…
- Googleマップ
[地図エリア]
広告 近くのカフェ
★★★★☆ 静かで仕事に最適
- Google Playストア
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最大の特徴は、その圧倒的なリーチ力(広告を届けられる範囲の広さ)と精度の高いターゲティング(届けたい相手を絞り込む機能)にあります。
膨大な潜在顧客にリーチ可能
日本国内で7割以上の検索シェアを誇るGoogleのネットワークを通じて、膨大な数の潜在顧客にアプローチできるだけでなく、「何を検索しているか」「どんなことに興味があるか」といったユーザーのデータに基づいて、最適な相手に最適なタイミングで広告を届けることが可能です。
大事なのは「品質スコア」。広告費だけでは決まらない掲載順位
ここで多くの初心者が誤解しがちなのが、「たくさんお金を払えば、一番良い場所に広告が出せる」という考えです。
ですがGoogle広告の仕組みはそれほど単純ではありません。
なぜなら、広告の掲載順位は「広告ランク」というスコアで決まるからです。
そして、この広告ランクは以下の式で計算されます。
1クリックに支払う上限額
広告とページの質 (10段階)
このスコアで掲載順位が決定
品質スコアが高ければ、低い入札単価でも上位表示が可能に
入札単価はイメージがつきやすいと思いますが、「品質スコア」はイメージがつきづらいかなと思いますので、下記のようなイメージを持ってください。
広告とキーワードの関連性
ユーザーの検索意図に、広告の内容がどれだけ合っているか。
推定クリック率
広告が表示された際に、クリックされる可能性がどれだけ高いか。
ランディングページの質
リンク先のページが、ユーザーにとって有益で使いやすいか。
総合的な「品質スコア」
これら3要素から、最大10段階で評価されます。
どうでしょう?品質スコアの理解がすすみましたでしょうか?
次はこれまでお伝えしてきた知識をもとに、実際に掲載順位が決まる様子を見てみましょう。
以下のスライダーを動かして入札単価と品質スコアが広告ランク(掲載順位)にどう影響するか、体感してみてください。
あなたの広告ランク
700
広告オークションの結果
広告ランク: 600 (固定)
品質スコアを上げると、低い入札単価でも勝てるようになります。
この「ユーザーにとって価値ある体験を重視する」という基本原則を理解することが、Google広告運用の第一歩です。
Google広告の主要キャンペーン8種類
Google広告で成果を出すには、自社のマーケティング目標に最も合った「キャンペーン」(広告の配信目的や種類のこと)を選ぶことが不可欠です。
キャンペーンの選択を間違えると、せっかくの予算を非効率に使ってしまうことになりかねません。
ここでは主要な8種類のキャンペーンをどんな目的の時に使うべきか解説します。
下のタブをタップしてみてください。タップしたキャンペーンタイプに応じた特徴が表示されるので、実施するビジネスにマッチするものを探してみましょう!
あなたのビジネス目標に最適な広告キャンペーンはどれでしょう?下のタブをタップして特徴を調べてみましょう。
また、各キャンペーンタイプの特徴が一目でわかるような表も作成しました。
ぜひご覧ください。
キャンペーン種類別 目的別比較表
キャンペーンタイプ | 主な目的 | ターゲット層 | こんな人におすすめ |
検索キャンペーン | 販売促進、見込み顧客獲得 | 顕在層 | 今すぐ客にアプローチしたい |
ディスプレイキャンペーン | 認知度向上、ブランディング | 潜在層 | 幅広い層に自社を知ってほしい |
動画キャンペーン | ブランディング、商品理解促進 | 潜在層〜準顕在層 | 映像で商品の魅力を伝えたい |
ショッピングキャンペーン | ECサイトの売上向上 | 顕在層 | ECサイトの売上を伸ばしたい |
アプリキャンペーン | アプリのインストール促進 | 潜在層〜顕在層 | アプリの利用者を増やしたい |
P-MAXキャンペーン | コンバージョン数の最大化 | 全ての層 | 運用工数をかけずに成果を最大化したい |
デマンドジェネレーション | 新規需要の創出、認知拡大 | 潜在層 | 新しい顧客層を開拓したい |
スマートアシスト | 簡単な広告出稿 | ― | 専門知識はないが広告を始めたい |
Google広告の予算の決め方
「で、結局いくらかかるの?」というのが一番気になるところですよね。
ですがGoogle広告に決まった料金表はありません。
費用は広告主の目標や業界によって大きく変動します。
Google広告の費用は「決まっていない」が、少額から始められる
まず知っておくべきは、Google広告には最低出稿金額がないということです。理論上は月々数百円からでも始められます。
ですが、意味のある成果(十分なクリックやコンバージョン)を得るためには、ある程度の予算規模が必要です。
多くの企業では月額20万円〜50万円程度で運用を開始するケースが一般的でしょう。
Google広告の費用発生の仕組み
広告費がどのように発生するかは、主に以下の課金方式によって決まります。
費用発生の仕組み
広告費がどのように発生するかは、主に4つの課金方式によって決まります。それぞれの仕組みを理解して、目的に合った方式を選びましょう。
クリック課金 (CPC)
クリックされて初めて課金される、最も一般的な方式です。
インプレッション課金 (CPM)
認知度向上など、広く見てもらいたい場合に有効です。
コンバージョン課金 (CPA)
成果が出て初めて課金される、低リスクな方式です。
広告視聴課金 (CPV)
YouTube広告で、動画が視聴された場合に課金されます。
[予算の決め方]目標からの逆算思考
広告予算を決めることは担当者にとって悩ましい問題の一つ。
もちろん勘や感覚だけで決めるのは危険ですが、かといって何から考えれば良いか分からない、という方も多いでしょう。
そこで不可欠になるのが、ビジネスの目標から逆算するアプローチです。
- 目標CPA(Cost Per Acquisition)を決める
これは「1件の成果(コンバージョン)を獲得するために、いくらまでなら広告費を支払えるか」という上限金額のことです。 例えば、1万円で売っている商品の原価や人件費などを引いた利益が3,000円だったとします。この場合、広告費に3,000円以上かけてしまうと赤字です。そのため、「利益の範囲内である2,500円までなら広告費として許容できる」といった形で、事業として利益が確保できるラインを基準に目標CPAを設定します。 - 月間で獲得したいコンバージョン数を決める
- 広告予算 = 目標CPA × 目標コンバージョン数
例えば、目標CPAを2,500円、月の目標コンバージョン数を100件と設定した場合、必要な広告予算は 2,500円 × 100件 = 250,000円 となります。
以下にビジネス目標から逆算する広告予算シミュレーターを用意しましたので、ぜひご自身のビジネス目標から入力して、予算策定を体感してみてください。
ビジネスの目標から逆算思考で、戦略的な広告予算を算出するプロセスを体験してみましょう。
–
→ 1件あたりの利益
3,000円
→ 目標CPA: 2,490円
最終的な推奨月間広告予算
249,000 円
業界別CPA・CPC相場比較表(目安)
そして予算策定には市場、競合の状況も踏まえることが重要です。
以下のグラフでは「検索広告」と「GDN」をクリックでデータを切り替えて業界別のCPA・CPCの相場が見れます。
よりリアルな予算策定の参考にお使いください。
ボタンをクリックして「検索広告」と「GDN」のデータを切り替えられます。 ※このデータは米国市場の調査結果を1ドル150円で換算した参考値です。業界間の相対的な比較や傾向の把握にお役立てください。
ボタンをクリックして「検索広告」と「GDN」のデータを切り替えられます。 ※このデータは米国市場の調査結果を1ドル150円で換算した参考値です。業界間の相対的な比較や傾向の把握にお役立てください。
上記について、サブスクリプションモデルなどの継続性が高いビジネス、または1成約あたりの報酬が高いビジネスは金額が高くなる傾向がありますので、その点でいうと消費者サービス、法律、テクノロジーがそのビジネスモデルに当てはまる可能性が高いといえるでしょう。
※上記データは米国市場の調査結果を1ドル150円で換算した参考値です。絶対額ではなく、業界間の相対的な比較や傾向を把握するためにお役立てください。また、あくまで一般的な目安であり、キーワードやアカウントの品質によって大きく金額は変動します。
Google広告の配信開始までに設定する5つの重要要素
Google広告を始めるには、いくつかの設定項目を正しく理解し、決めていく必要があります。
ここでは、「広告を配信するために、最低限これらの要素を決める必要がある」という、普遍的な5つの重要要素について解説します。
結論から先に言うと、その5つの要素は図解の方がイメージしやすいので以下にその概念をお伝えします。その後、それぞれの詳しい内容を解説していますので、詳しく見たい方はその後もご覧ください。
Google広告 配信設定の5つの重要要素
広告配信を開始するために設定する、普遍的な5つの要素の概念図です。
アカウント : 全ての土台
広告活動全体の入れ物。まずはここから始めます。
【最重要】エキスパートモードで開始
全ての機能を使うため、必ず「エキスパートモード」で設定を始めましょう。
キャンペーン : 広告の設計図
目的、予算、エリアなど戦略の骨格を決めます。
広告グループ : テーマ別の収納箱
キーワードと広告をテーマ別に仕分けます。
例:「スニーカー」キャンペーンの中
メンズグループ
キーワード:「スニーカー メンズ 人気」
レディースグループ
キーワード:「スニーカー レディース おしゃれ」
広告クリエイティブ
ユーザーが目にする広告そのものです。
検索広告
テキストが中心
ディスプレイ広告
画像が中心
コンバージョン計測
【必須】コンバージョンタグの設置
これを設置しないとどの広告が成果に繋がったか全く分からず、改善のしようがありません。
アカウントの基本情報:全ての土台を作る
まず、広告活動全体の土台となる「アカウント」を作成します。ここで設定するのは、主に以下の2つです。
- ビジネス情報:広告を出すのが誰なのか、という基本情報です。
- 支払い情報:広告費を支払うためのクレジットカード情報などを登録します。
キャンペーン:広告の「設計図」を決める
アカウントという家を建てたら、次に部屋(キャンペーン)の設計図を考えます。
キャンペーンとは、広告活動の大きな枠組みのことで、ここで広告の「目的」や「戦略」を決めます。
- 広告の目標
何を達成したいのか(例:「商品の売上を伸ばしたい」「問い合わせを増やしたい」)。 - キャンペーンタイプ
目的に合わせて、どの広告メニューを使うか。この選択によって、以降の設定項目が大きく変わるため非常に重要です。(例:キーワードで探す人に届ける検索キャンペーン、Webサイトを見ている人にバナーを見せるディスプレイキャンペーンなど)。 - 配信ネットワーク
どこに広告を出すか(Google検索だけか、提携サイトにも出すかなど)。 - 日予算
1日あたりいくらまで広告費を使うか。 - 広告のスケジュール
広告を配信する曜日や時間帯。 - 配信エリア・言語
- どの地域に住んでいる、どの言語を使っている人に見せたいか。
- 配信デバイス
パソコン、スマートフォンなど、どの端末を使っている人に見せたいか。
広告グループ:テーマごとに広告とキーワードを仕分ける
キャンペーンという大きな部屋の中に、さらに「収納ボックス(広告グループ)」を置いて、広告をテーマごとに整理します。
このグループ分けは、扱う商品カテゴリーやサービスの種類、あるいはターゲットにしたい顧客層ごとに行うのが一般的です。
例えば、「スニーカー」を売るキャンペーンの中に、「メンズスニーカー」用の広告グループと、「レディーススニーカー」用の広告グループを作るイメージです。
広告グループの中では、主に以下の要素を設定します。
- キーワードやターゲティング
- 検索広告の場合:「スニーカー メンズ 人気」といったキーワードを設定します。
- ディスプレイ広告の場合:「ファッションに興味がある人」といった興味・関心や、一度サイトを訪れた人(リマーケティング)などをターゲットに設定できます。
- 広告
上記のターゲットに響くような、「人気メンズスニーカー特集」といった広告文やバナー画像を用意します。
現在の広告運用ではAIによる自動入札が主流のため、グループを細かく分けすぎるとデータが分散し、かえってAIの学習効率が下がることもあります。テーマを絞りつつも、ある程度のデータ量が1つのグループに集まるように意識することが、成果を出すためのコツです。
広告クリエイティブ:ユーザーが目にする「広告そのもの」
ユーザーが実際に目にする「広告そのもの」を作成します。広告の種類によって、その形は変わります。
- 検索広告の場合
ユーザーの検索キーワードに応える見出しや説明文といったテキストが中心です。特に「レスポンシブ検索広告」が主流で、複数のパターンを登録しておくと、GoogleのAIが最も効果的な組み合わせを自動でテストしてくれます。 - ディスプレイ広告や動画広告の場合
ユーザーの目を引く画像(バナー)や動画がクリエイティブになります。
どちらの場合でも重要なのは、広告グループのテーマに沿って、ターゲットとなるユーザーの心に響く、具体的で魅力的なメッセージを考えることです。
コンバージョン計測:成果を正しく測る
広告を配信する前に、絶対に忘れてはならないのが「コンバージョンタグ」の設置です。
コンバージョンとは、広告における「成果」のことで、例えば「商品が購入された」「問い合わせがあった」などを指します。コンバージョンタグとは、この成果を正確に計測するための目印のようなものです。
これをWebサイトに設置しておかないと、どの広告が成果に繋がったのかが全く分からず、改善のしようがありません。
広告運用は、このコンバージョンデータを基に行うため、最も重要な設定と言っても過言ではありません。
【事例】広告の成果を最大化する実践テクニック
広告は配信を開始してからが本番です。
継続的な改善(PDCAサイクル)こそが、効果を最大化する鍵となります。
ここでは弊社が実際にクライアント様の広告効果を改善してきた、より実践的な運用テクニックをBtoBとBtoCをご紹介します。
BtoB広告の成果事例
まずは、法人向けのサービスで成果を出すための事例を2つご紹介します。
1.【BtoB IT保守】「本当のゴール」に絞ってAIを賢くする
学習が分散
重要ゴールに集中
2.【BtoB IT保守】AI任せの広告に「強力なヒント」を与えて軌道修正
AIが混乱
人間がヒントを与える
精度が向上
BtoC広告の成果事例
次に個人消費者向けのビジネスにおける成功事例を2つご紹介します。
3.【コンタクトレンズ通販】「本当のゴール」に合わせて広告の種類を使い分ける
予算配分が曖昧
新規獲得へ集中
4.【金融サービス】うまくいっている設定を「真似する」
成功要因をコピー!
まとめ:Google広告で事業を成功に導くために
ここまで、Google広告の基本から実践的なテクニックまで解説してきました。最後に、成功への道を歩むための重要なポイントを再確認しましょう。
- 目標設定から始める
何のために広告を出すのか、明確な目標が全ての出発点です。 - 目的に合ったキャンペーンを選ぶ
「誰に」「何を」伝えたいのかを考え、最適なキャンペーンを選択しましょう。 - 予算は戦略的に決める
広告は「投資」です。目標からの逆算で、データに基づいた予算を策定しましょう。 - 継続的な改善(PDCA)こそが成功の鍵
広告は「出稿して終わり」ではありません。データと向き合い、改善し続けることが最も重要です。
Google広告の世界は奥深く、常に変化していますが、この記事で解説した基本を押さえ、まずは少額からでも一歩を踏み出してみてください。テストを恐れず、データから学び、改善を重ねる姿勢があれば、必ず道は開けます。
本記事が、あなたのビジネスを成功に導くための一助となれば幸いです。