「TikTok広告って、正直何から手をつけていいかわからない…」
「若者がダンスしているアプリでしょ?うちみたいな固い商材でも効果あるの?」
TikTok広告に対して、こんな風に思ったことはありませんか?
私たちリドルセンスは、リスティング広告や各種SNS広告の運用でこれまで多くの企業様をご支援してきました。
その経験から断言できるのは、TikTok広告はその特性を正しく理解し、戦略的に活用すれば、業界や商材を問わず驚くべき成果を生み出す可能性を秘めているということです。
この記事を読み終える頃には、あなたはTikTok広告の基礎知識からアカウント開設、効果的なクリエイティブの作り方、そして成果を分析して改善していく方法まで体系的に理解できるようになっているはずです。
TikTok広告の特徴とは?
まず、最も重要なことからお伝えします。
TikTokは単なるSNSではなく、高度なアルゴリズムによって動く「エンターテインメントプラットフォーム」です。
ここが他の広告媒体との最大の違いであり、すべての戦略の出発点になります。
意外!?TikTokのユーザー層について
「TikTok=若者のアプリ」でしょ?
こういうイメージは、もはや過去のものです。
36歳
これがTikTokユーザーの平均年齢
実際の国内ユーザーの平均年齢は、なんと36歳です。
購買力のある消費者層にもしっかりとリーチできる媒体へと成長しているんです。
広告主にとっては見過ごすことのできない巨大な市場が広がっているといえるでしょう。
TikTokの「前のめり」な体験から生まれる価値
皆さんは、テレビを見ながらスマートフォンを触る「ながら見」をよくしませんか?
ですがTikTokユーザーは違います。
Kantar社が実施した調査では、ユーザーの46%がコンテンツに「集中視聴※1」しており、92%が動画視聴後に何らかの行動を起こすというデータが報告されています。
※1:この調査における「集中視聴」とは、アンケート形式でユーザーの視聴態度を調査し、他にTV等との同時視聴など「ながら視聴」をしていないと回答したユーザーの割合を指します。
これは、全画面・サウンドオンが基本の視聴環境がもたらす「前のめり」な体験であり、広告メッセージを強力に伝えられる理想的な土壌と言えます。
広告でもバズる!?TikTokの「おすすめ」の仕組み
TikTokの心臓部である「おすすめ」フィードのアルゴリズムは、非常に優秀です。
多くのSNSがフォローしているアカウントの投稿をメインに表示するのに対し、TikTokはユーザーがアプリを使っている時間の大半を「おすすめ」フィードで過ごすという大きな特徴があります。

この「おすすめ」フィードは、ユーザーの興味を的確に学習し、「次に気に入るであろう質の高いコンテンツ」をフォロー関係なく表示する仕組みです。
重要なのは、このアルゴリズムがコンテンツの質を純粋に評価する「実力主義」であること。
つまり、広告であってもユーザーからの評価(いいね、コメント、視聴完了率など)が高ければ、「これは質の高いコンテンツだ」とアルゴリズムに判断され、広告費で設定したターゲットを超えて、オーガニックの投稿と同じように広く拡散される可能性があるのです。
これがTikTok広告が持つ特徴的な強みです。
TikTok広告のモデルと費用
TikTok広告の戦略を考える上で、最初に決めるべき最も重要なことがあります。
それは確実性を取る「予約型広告」か、柔軟性を取る「運用型広告」かを選ぶことです。
この選択が、予算規模やキャンペーンの目的を大きく左右します。
確実性を買う「予約型広告」
テレビCMをイメージすると分かりやすいかもしれません。
特定の広告枠を、決まった期間・価格で買い取るモデルです。
予約型: 大々的な告知に
- 仕組み: TikTokが提供する広告枠を事前に予約し、表示回数や掲載期間を保証してもらいます。
- どんな時に使う?: 新商品の発売や大規模なブランディングキャンペーンなど、短期間で圧倒的な認知度を獲得したい場合に最適です。
- 費用感は?
- TopView(起動画面広告): アプリを起動した瞬間に表示される最もインパクトのある広告枠。最低出稿金額は約500万円から。
- ハッシュタグチャレンジ: ユーザー参加型のキャンペーンで、大きな話題化を狙えます。費用は1,000万円からと高額です。
効率性を追求する「運用型広告」
こちらは、Web広告で主流となっているオークション形式のモデルです。
運用型: 分析して成果につなげる
OUTPUT
- 仕組み
広告主がターゲットや予算を自由に設定し、リアルタイムの入札競争によって広告の表示機会を獲得します。 - どんな時に使う?
Webサイトへのアクセスを増やしたり、商品の購入(コンバージョン)を促したりと、CPA(顧客獲得単価)などの具体的な成果を追い求める場合に最適です。 - 費用感は?
- CPC(クリック課金): 広告が1回クリックされるごとに課金。相場は30円〜100円程度。
- CPM(インプレッション課金): 広告が1,000回表示されるごとに課金。相場は100円〜1,000円程度。
- CPV (視聴単価 – Cost Per View): 動画が一定時間(2秒または6秒)再生されるごとに課金されます。「動画視聴数」を目的としたキャンペーンで使用されます。
- CPI (インストール単価 – Cost Per Install): アプリが1回インストールされるごとに課金されます。「アプリのインストール」目的のキャンペーンで使用されます。
「TikTok広告は高額」は誤解だった!
予約型広告の高額なイメージから「TikTok広告は手が出せない」と思われがちです。
ですがそれは半分正解で半分間違い。
運用型広告であれば1日数千円という低い予算からでも始めることが可能で、他のSNS広告と比較してもコスト効率が高いケースも少なくありません。
あなたの目的が、新商品の発売に合わせて「短期間で爆発的な認知を獲得したい」のであれば予約型広告が適しています。
一方で、「1件あたり〇〇円という目標コストで、継続的に顧客を獲得し続けたい」といった具体的な費用対効果を追い求めるのであれば、運用型広告を選ぶのが良いでしょう。
このように、目的とモデルを正しく一致させることが成功への第一歩です。
TikTok広告をはじめる4つの重要要素
理論がわかったら、次はいよいよ実践です。
ここでは、広告出稿にあたって欠かせない「Businessアカウント」「キャンペーン」「広告セット」「広告」の4つがありますので、それぞれ解説していきます。
Businessアカウント
【土台】広告活動の司令塔
キャンペーン
【目的】を決める場所
広告セット
【誰に・いつ・いくらで】を決める場所
広告
【何を見せるか】を決める場所
アカウントと計測の準備
全ての広告活動は、信頼できる土台の上に成り立ちます。
- TikTok for Businessアカウント
これは広告を管理・配信するための司令塔です。公式サイトから会社情報や支払い情報を登録し、公式な活動拠点となるアカウントを準備します。 - TikTokピクセル
これは広告の成果を測るための「計測センサー」です。あなたのWebサイトにこのセンサーを設置することで、「広告経由で商品が何個売れたか」といった成果を正確に把握できます。さらに、サイトを訪れたユーザーに再度広告を見せる「リターゲティング」も可能になり、パフォーマンス重視であれば設置は必須です。
またTikTok広告に限らずですが、広告では戦略の骨子を組み立てることが重要です。
TikTok広告では、「キャンペーン」「広告セット」「広告」という3つの階層構造で成り立っています。
この構造を理解し、各階層の役割を明確にすることが、戦略的な広告配信の鍵となるのでそれぞれ説明していければと思います。
キャンペーン|【目的】を決める場所
広告活動全体の「ゴール」を定義します。
ここで選んだ目的に応じて、TikTokのアルゴリズムが最適なユーザーに広告を配信しようと試みます。
現在設定できる目的は、大きく分けて「認知」「比較検討」「コンバージョン」の3つのカテゴリーに分類されます。
広告セット|【誰に・いつ・いくらで】を決める場所
キャンペーンで決めた目的を、より具体的な戦術に落とし込む階層です。
ターゲティングや予算、配信スケジュールなどを設定します。
この階層で設定する「ターゲティング」は、広告の成否を分ける非常に重要な要素です。
この記事ではTikTokで設定できる主なターゲティングを以下のとおりご紹介します。
広告|【何を見せるか】を決める場所
ユーザーが実際に目にする広告クリエイティブ(動画や画像)そのものを設定する階層です。
どんなに優れた戦略も、ここでユーザーの心を動かせなければ意味がありませんのでわかりやすくご紹介します!
押さえておきたい基本フォーマット
- インフィード広告 (In-Feed Ads)
ユーザーの「おすすめ」フィードに、通常の投稿と同じ形式で自然に表示される広告です。動画だけでなく画像も利用可能で、Webサイトへの誘導やアプリインストールなど、様々な目的に対応できる最も基本的なフォーマットです。 - Spark Ads
自社や提携クリエイターが投稿したオーガニック投稿(通常の投稿)をそのまま広告として活用する手法です。「広告感」が薄く、ユーザーからの信頼や共感を得やすいため、高いエンゲージメントが期待できます。
大規模な認知向けフォーマット
- TopView (起動画面広告)
ユーザーがアプリを起動した際に、最初に全画面で表示されるインパクト絶大な広告です。短期間で圧倒的な認知を獲得したい場合に最適です。
ユーザー参加を促す特殊フォーマット
- ハッシュタグチャレンジ
企業が考えた「#〇〇チャレンジ」のようなハッシュタグで、ユーザーに動画投稿を促す参加型キャンペーンです。トレンドを生み出し、爆発的な話題化を狙えます。 - ブランドエフェクト
企業オリジナルのスタンプやフィルターなどを制作し、ユーザーが動画作成時に利用できるようにするフォーマットです。楽しみながらブランドに触れてもらうことで、親近感を高めます。
以上が4つの重要要素の解説でした。
TikTok広告の成功は、単に広告を配信するのではなく、プラットフォームの文化に寄り添い、ユーザーの心を動かす「作品」を届けることに集約されますので、ぜひその辺りを意識して設定していきましょう。
成果を生むTikTok広告クリエイティブ
次に先ほど紹介した広告に関して深堀していきましょう。
なぜなら、TikTok広告の成否を最終的に分けるのは間違いなく「クリエイティブ」と考えるからです。
ここでの鉄則はただ一つ。
「広告を作るな、TikTokを作れ」
これはどういう意味でしょうか?
それは、完璧に作り込まれたTVCMのような「いかにも広告」という動画は、TikTokでは受け入れられにくいということです。
成果を上げるコツは、まるで友達がスマホで撮ったかのような手作り感のある動画や、流行りの音楽・エフェクトを使った動画など、ユーザーが普段から見慣れている「TikTokらしい」フォーマットに広告を寄せていくことなのです。
勝負は最初の3秒!
ユーザーは、つまらないと感じれば一瞬で次の動画へスワイプしてしまいます。
あなたの広告が生き残るかは冒頭のわずか3秒で決まります。
この冒頭の仕掛けを「フック」と呼びます。
ユーザーの指を止めるための、代表的なフックをいくつかご紹介します。
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悩み解決
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劇的変化
Befor→After
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衝撃事実
99%が知らない!
- 問いかけ
「歯並びに悩んでいる人、ちょっと待って!」のように、ターゲットの悩みに直接語りかける。 - 劇的な変化
スキンケアや掃除グッズなどで、衝撃的な結果を最初に見せる。 - 大胆なテキスト
「99%が知らない節約術」のように、好奇心を刺激する文字を画面いっぱいに表示する。
これだけは守って!技術的な必須ルール
どんなに面白いアイデアも、技術的なルールを守らないと台無しになってしまいます。
絶対条件!
9:16
セーフゾーンに
配置
- 絶対条件!「9:16の縦型動画」
TikTokはスマホでの縦型フルスクリーン視聴が前提です。他の媒体で作った横型動画をそのまま流用するのは、パフォーマンス低下に直結する最もやってはいけないことの一つです。 - 意外な落とし穴「セーフゾーン」
TikTokの画面には、アカウント名や「いいね」ボタンなどが常に表示されています。広告の重要なメッセージや商品ロゴが、これらの表示に隠れてしまわないよう、主要な要素は必ず画面中央の安全な領域(セーフゾーン)に配置しましょう。
クリエイティブで迷ったときは?
「どんな動画を作ればいいか分からない…」そんな時は、公式ツール「TikTokクリエイティブセンター」を覗いてみましょう。
ここでは、様々な業界で高い成果を上げている広告クリエイティブを無料で閲覧・分析できます。
成功事例からフックの作り方や編集のテンポを学ぶのが、上達への一番の近道です。
配信して終わりはNG!広告効果を最大化する分析
広告は、配信して終わりではありません。
むしろ、配信してからが本当のスタートです。
データに基づいて継続的な改善サイクル(PDCA)を回し続けることが、成果を最大化するための唯一の方法です。
何を見ればいい?目的別の重要指標(KPI)
まずは、自分のキャンペーンの目的に合った「成績表」の見方を学びましょう。
- 認知度向上が目的の場合
- リーチ数: 広告を何人のユニークユーザーが見たか。
- 動画視聴完了率 (VTR): 動画を最後まで見てくれた人の割合。ユーザーの関心の高さを示します。
- コンバージョンが目的の場合
- コンバージョン数 (CV): 商品購入や会員登録など、目標を達成した数。
- 顧客獲得単価 (CPA): 1件のコンバージョンを獲得するために、いくら費用がかかったか。費用対効果を測る最重要指標です。
これらの数値は、TikTok広告マネージャーの管理画面でいつでも確認できます。
「どのフックが一番効果的だろう?」「どちらの広告の反応が良いだろう?」
結果を比較・分析し、パフォーマンスが良かった広告の予算を増やし、悪かった広告は停止する。
この繰り返しによって、広告効果は着実に向上していきます。
成功事例から学ぶ、明日から使える実践テクニック
最後に、実際の成功事例からTikTok広告活用のヒントを学びましょう。
業界や目的が違っても、成功には共通の「型」があります。
ご自身のビジネスに活かせる事例がないか見てみましょう。
- 【BtoC】トヨタ自動車
自動車業界に特化した広告と、購入意欲の高いユーザー層へのターゲティングを組み合わせ、CPA(顧客獲得単価)を38%も削減することに成功しました。 - 【BtoC】丸亀製麺
新商品「シェイクうどん」の発売に合わせ、TVCMと連動したダンスチャレンジ「#シェイクうどんダンス」を展開。多くのユーザー参加を促し、商品の認知度を飛躍的に高めました。 - 【BtoB/採用】三和交通
タクシー会社の役員自らが登場するコミカルなダンス動画が大きな話題に。一見、事業とは関係なさそうなこのコンテンツが、採用応募数の劇的な増加と採用コストの大幅な削減に直結しました。これは、TikTokがBtoBや採用活動においても強力なツールになり得ることを証明した画期的な事例です。
初心者が陥りがちな「4つの罠」
成功事例から学ぶと同時に失敗からも学びましょう。
これらを避けるだけで、成功確率は格段に上がります。
横型動画
絞り込みすぎ
コミュニティ無視
早期諦め
- 横型動画の使いまわし
最もよくある失敗です。必ず縦型動画を用意しましょう。 - 過度なターゲティングの絞り込み
最初から絞り込みすぎると、アルゴリズムが学習できず、かえって成果が悪化することがあります。まずは広めに設定し、データを見ながら最適化しましょう。 - コミュニティの無視
広告に寄せられたコメントを放置するのはNG。ファンを育てるチャンスを逃してしまいます。 - 早期の諦め
最初のテストがうまくいかなくても、諦めないでください。成功は複数のクリエイティブを試し、データから学習するプロセスから生まれます。
まとめ|TikTok広告で新しい可能性を切り拓こう
ここまで、TikTok広告の基礎から応用まで、網羅的に解説してきました。
最後に、成功へのロードマップをもう一度確認しましょう。
- 目的を明確にし、最適な広告モデル(予約型/運用型)を選ぶ。
- 「広告を作るな、TikTokを作れ」を合言葉に、プラットフォームに合ったネイティブなクリエイティブを制作する。
- 配信結果をデータで分析し、PDCAサイクルを回し続ける。
この3つのシンプルなフレームワークこそが、あらゆるマーケターが成功を再現するための道筋です。
TikTokは、もはや一部の先進的な企業だけが試す実験場ではありません。
この記事を読んで、「成果が出るかも」と少しでも感じていただけたなら、まずは少額の運用型広告から、その第一歩を踏み出してみてください。