広告担当をやっていると「X広告(旧Twitter広告)に興味はあるけれど、何から手をつければいいかわからない」「本当に効果があるのか疑問だ」と感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事ではX広告の基本から、具体的な費用、始め方、そして成果を最大化するための重要なポイントまでを網羅的に解説します。
特に、実際の運用経験から得たリアルな知見も交えてお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
X広告(旧Twitter広告)とは?
X広告とは、SNSプラットフォーム「X(旧Twitter)」上に配信できる広告のことです。
ユーザーのタイムラインや検索結果、プロフィールページなどに表示されます。
他のSNS広告と比較した際のX広告の最大の特徴は、以下の2点に集約されます。
- お得な二次拡散力
ユーザーが興味深いと感じた広告は、「リポスト(旧リツイート)」によって自然に拡散されていきます。これにより、広告費をかけた以上のリーチが期待できます。 - 圧倒的なリアルタイム性
「今、起きていること」が瞬時に共有されるプラットフォームのため、トレンドや時事的な話題と連動したスピーディーな広告展開が可能です。
この「リアルタイム性」と「拡散力」こそが、X広告を唯一無二の存在にしているのです。
X広告のメリットと注意点
X広告には強力なメリットがある一方で、運用前に知っておくべき注意点も存在します。
メリット
広告
リポストで無料拡散
広告費以上のリーチを生む可能性
狙った層へ届く
キーワードや興味関心で絞り込み
- 二次拡散による高い費用対効果
前述の通り、ユーザーによるリポストで広告が拡散された場合、その先のリーチやエンゲージメントに追加の広告費はかかりません。クリエイティブが魅力的であれば、支払った費用以上の効果を生む可能性があります。 - 精緻なターゲティング
ユーザーの投稿キーワードやフォローしているアカウント、興味関心などに基づいて、非常に細かいターゲティングが可能です。主なターゲティング手法には以下のようなものがあります。
ターゲティングの種類 | 詳細 | 設定例 |
ユーザー属性 | 年齢、性別、地域、言語など、基本的なデモグラフィック情報でターゲティングします。 | ・東京都在住の20代女性・英語を話すユーザー |
端末 | OS、端末モデル、携帯キャリア、さらには新規端末購入者など、利用しているデバイスに基づいてターゲティングします。 | ・iOSを利用しているユーザー・過去1ヶ月以内に新しいスマートフォンを購入したユーザー |
キーワード | ユーザーが最近ツイートしたり、検索したりしたキーワードに基づいてターゲティングします。 | ・「スイーツ」「お取り寄せ」という単語を含むツイートをしたユーザー |
興味関心 | ユーザーが関心を持っていると推定されるカテゴリでターゲティングします。 | ・「グルメ」「旅行」に興味があるユーザー |
フォロワーが似ているアカウント | 特定のアカウントのフォロワーと似た興味関心を持つユーザーにターゲティングします。 | ・有名パティシエのアカウントのフォロワーと類似したユーザー |
会話トピック | X上で交わされている特定のトピックに関する会話に基づいてターゲティングします。 | ・「最新映画」に関する会話に参加しているユーザー |
映画とTV番組 | 特定のテレビ番組や映画にエンゲージメントしたユーザー(放送前後・放送中にツイートしたユーザーなど)にリーチします。 | ・昨日放送されたドラマ「〇〇」についてツイートしたユーザー |
カスタムオーディエンス | 広告主が保有するデータ(ウェブサイト訪問者リストなど)を利用してターゲティングします。 | ・自社のECサイトを訪れたことがあるが、購入に至っていないユーザー |
プレースメント(配信面) | 広告を表示する場所を指定します。オーディエンスではなく、広告の掲載場所を絞り込む設定です。 | ・ホームタイムライン・プロフィール・検索結果 |
デメリット(注意点)
炎上のリスク
不適切な表現は命取り
開始ハードルが高い
有料バッジが必須
- 炎上のリスク
拡散力が高い分、広告内容に不適切な表現があると、批判が瞬く間に広がり「炎上」に繋がる可能性があります。クリエイティブの表現には細心の注意が必要です。 - 広告開始のハードルが高い
正直なところ、広告を開始するまでのハードルは比較的高いと感じます。 現在の仕様では、広告を配信するために月額料金のかかる「認証マーク(青色または金色バッジ)」の取得が必須となっています。フォロワー数が多かったり、投稿がバズっていたりといった実績があれば別ですが、多くのアカウントは課金しないと広告を始められないのが実情でしょう。
X広告はどんな目的の配信に向いている?
では、X広告はどのような目的で活用するのが最も効果的なのでしょうか。
私自身がスイーツ販売を主にECサイトで展開している広告主様のX広告を運用した経験から言うと、X広告は短期的な成果(CV)を追い求めるよりも、長期的な「認知度向上」を目的とした配信に向いていると考えています。
得意なこと
タネをまき、育てる
(認知向上・ファン育成)
苦手なこと
すぐに魚を獲る
(短期的な成果獲得)
例えば、コンバージョン獲得を目的としたキャンペーンでは、目標CPAの達成が難しいケースも少なくありませんでした。
一方で、新商品の認知拡大やブランドイメージ向上を目的とした「フォロワー獲得キャンペーン」などを実施した際は、非常に良い反応が得られました。
世の中の多くのX広告が、フォロー増加やキャンペーンの告知といった、長期的に成果が出る認知目的で配信されていることからも、この傾向は明らかです。
ユーザーとの継続的な接点を築き、ブランドのファンを育てていくという視点がX広告をうまく活用するための鍵と言えるでしょう。
X広告の費用はいくら?課金方式と相場
X広告には最低出稿金額がなく、少額から始められますが、効果検証のためには月額10万円程度からスタートするのが一般的です。
課金方式はキャンペーンの目的によって異なり、主に以下のようなものがあります。
※X広告の料金体系(ざっくりイメージ版)
クリック
表示
反応
フォロー
※X広告の料金体系(詳細版)
課金方式 | 概要 | 費用相場 |
クリック課金 (CPC) | 広告のリンクがクリックされると課金 | 20円~200円/クリック |
インプレッション課金 (CPM) | 広告が1,000回表示されると課金 | 350円~650円/1,000回 |
エンゲージメント課金 (CPE) | いいね、リポスト、返信などで課金 | 35円~100円/エンゲージメント |
フォロー課金 (CPF) | 広告経由でフォローされると課金 | 40円~100円/フォロー |
どの方式を選ぶかよりも、「広告の品質」を高めることが費用対効果の改善に繋がります。
ユーザーからの反応が良い広告は、より安価に表示されやすい仕組みになっているからです。
X広告をはじめる4つの重要項目
X広告の出稿はいくつかの階層構造を理解し、それぞれで必要な項目を設定していくことで完了します。配信開始に必要な重要項目を4つの階層に分けて解説します。
アカウントの階層構造と各設定項目
1. アカウント
広告配信の土台
2. キャンペーン
広告の「目的」
3. 広告グループ
誰に・いつ・いくらで
4. 広告
ユーザーが目にするもの
1. アカウントレベル:広告配信の土台を整える
広告活動全体を管理する最も大きな枠組みです。まず、以下の準備が必要です。
- 配信元となるXアカウント
企業の公式アカウントなど、広告主となるアカウントを準備します。後述の通り、このアカウントの信頼性やプロフィールの充実度が広告効果に直結します。 - 【必須】有料の認証バッジ
現在の仕様では、広告配信の前提条件として認証バッジ(青色または金色)の取得が必須です。 - 支払い情報
広告費を支払うためのクレジットカード情報などを登録します。
2. キャンペーンレベル:広告の「目的」を定める
アカウントの下に作成する、広告活動の最も大きな目的の単位です。
- キャンペーンの目的
この広告で何を達成したいのか(ウェブサイトへのアクセスを増やしたい、フォロワーを獲得したいなど)を明確に定義します。ここで選択した目的に応じて、選べる課金方式や最適化のポイントが変わるため、最も重要な設定の一つです。
3. 広告グループレベル:誰に、いつ、いくらで届けるかを決める
一つのキャンペーンの下に複数作成でき、具体的な配信戦略を定義する階層です。
- ターゲティング
広告を届けたいユーザー層(年齢、地域、興味関心、キーワードなど)を詳細に設定します。 - 予算・スケジュール
この広告グループで使用する予算(日額や総額)と、広告を配信する期間を設定します。
4. 広告レベル:ユーザーが目にする「クリエイティブ」を作成する
広告グループの下に作成する、ユーザーが実際に目にする個々の広告そのものです。
- 広告クリエイティブ
ユーザーのエンゲージメントを直接左右する広告文(ツイート)、画像、動画、ウェブサイトへのリンク(カード)などを作成・設定します。
これらの各階層での設定をすべて完了させ、X社による審査で承認されると、広告の配信が開始されます。
X広告で成果を出す重要ポイント3つ
最後にX広告で成果を出すために、私が特に重要だと感じている3つのポイントをご紹介します。
ポイント①:アカウントの信頼性を高める
「信頼」がすべての土台
企業アカウント
@company_account
プロフィールや日々の投稿で信頼を構築
広告の成果を出す上で見落とされがちですが最も大事なことの一つが、広告のリンク元となるアカウント自体の信頼性です。
ユーザー目線で考えてみてください。
広告を見て興味を持ったとき、そのアカウントのプロフィール欄や過去の投稿がしょぼかったらサービスを利用したいと思うでしょうか?
プロフィールが充実し、日々の投稿頻度も高く、ユーザーとしっかりコミュニケーションを取っているアカウントの方が、はるかに信頼できますよね?
このアカウントの信頼性はmeta広告でプロフィール欄が不十分だと広告配信に制限がかかる規定に変更になったことからも、プラットフォーム側が重視している点だとわかります。
ポイント②:「広告らしくない」クリエイティブ
「共感」が拡散を生む
ユーザーが「教えたい!」と思う内容が鍵
有益・面白いコンテンツ
ユーザーが思わずリポストしたくなるような、有益な情報、面白いコンテンツ、共感できるメッセージなどを意識してクリエイティブを作成しましょう。
「これは広告だけど、みんなに教えたい」と思わせることができれば成功です。
ポイント③:A/Bテストによる継続的な改善
適切な改善フローを持つこと
データを見て良い広告に改善
広告A
広告B
Bが良い!
最初から完璧な広告を作ることは不可能です。
画像やキャッチコピーが違うパターンを複数用意して配信し、どちらの反応が良いかを比較する「A/Bテスト」を繰り返しましょう。
データに基づいて地道に改善を続けることが、成果への一番の近道です。
まとめ
X広告はリアルタイム性と拡散力に優れたユニークな広告プラットフォームです。
短期的なコンバージョン獲得には向かない側面もありますが、「認知度向上」や「ファン育成」といった長期的な視点で活用すれば、他の媒体にはない大きな成果をもたらす可能性を秘めています。
成功の鍵は、広告クリエイティブの工夫はもちろんのこと、その土台となるアカウント自体の信頼性を日々の運用で高めていくことにあります。
本記事を参考に、ぜひX広告への一歩を踏出してみてください!